会議概要(H28年度)
平成28年度木材利用推進「全国会議」―木材利用の街づくり推進ーは、平成28年7月27日(水)13:00〜17:30、木材会館7階ホールにおいて、木材関係業界のほか、建築設計、住宅産業等幅広い業種の方々を含め、総計190名の参加者を得て盛会裏に終了しました。
ここにご関係各位の皆様に厚くお礼申し上げます。
なお、木材利用優良施設の表彰式では、農林水産大臣賞、林野庁長官賞、木材利用推進中央協議会会長賞の授与が行われました。
全国会議次第
〔概要〕
注:講演データは、このページで公表します。
木材利用推進中央協議会会長挨拶
来賓挨拶 林野庁次長 沖 修 司 氏
来賓挨拶国土交通省 住宅局住宅生産課
木造住宅振興室長 澁 谷 浩 一 氏
1 公共建築物・街づくり等木材利用推進の取組み
(1)国の施策・取組み
(1)公共建築物による木の街づくり等の取組み
林 野 庁 林政部 木材利用課長 吉 田 誠 氏
(2)公共建築物における木材活用の推進
国土交通省 大臣官房官庁営繕部整備課 木材利用推進室
営繕技術専門官 米 田 信 年 氏
(3)木材を活用した学校施設づくりの促進
文部科学省 大臣官房文教施設企画部施設助成課 調査係 唐 沢 尚 也 氏
2 講演
(1)熊本地震における木造住宅の被害と今後の耐震化
講師 京都大学生存圏研究所 教授 五十田 博 氏
(日本建築学会 木質構造運営委員会主査・災害委員会幹事)
〔講演要旨メモ〕
国土交通省の調査委員会は、熊本地震で被害の大きかった益城町の木造の被害状況をまとめた報告書を公表している。木造1,042棟の16.1%の168棟が大破・倒壊の被害。原因分析の結果、その多くは、現行の建築基準で求められている接合仕様を十分に満たしていないため被害につながった可能性が高いとみられる。
地震との関連では、既存木造については、継続して地震に対する啓蒙活動が必要、新耐震以降であっても耐震補強が必要な住宅があるので、例えばリフォームとの組合せ技などで耐震補強を進めていく必要がある。新築住宅の耐震化について、基準法の最低レベルをクリアするだけでなく、地震による損傷がない建物をつくることが重要で、そのため技術者の協力が必要になることを指摘。
具体的には、大地震に対する経験と勘、耐震性のレベルと地震被害、大地震の結果の損傷状況について、加震映像を交えて報告。さらに、耐震設計の基本、誰でもできるわが家の耐震診断、建築基準法の構造既定の変遷、壁の耐力と浮き上がり、性能設計と木造の設計、1981年以前と以降の大破以上の被害について詳細に解説。
〔略歴等〕
〔講演データ〕
調整中:近日中に公表します。
(2)木の魅力を引き出す街づくりのための構造設計について
― 国際教養大学図書館棟等におけるコンセプトとデザイン ―
講師 株式会社山田憲明構造設計事務所 代表取締役 山 田 憲 明 氏
〔講演要旨メモ〕
木造施設を造る際、構造設計者が取り組むべきこととして、ワークショップなどによる地域の木材生産者や施工者との対話や関係分野の専門家からの支援が極めて重要である。構造設計者は平面計画・構造計画と同時に防耐火計画を決定し、かたちの工夫、異種材料との組み合わせ、素材を選ぶなどの構想を行う。
地域の製材で造った事例として、多雪地域の屋根を和傘状の構造で支えた国際教養大学図書館「中嶋記念図書館」、大学の演習林のスギ材を活用して造った「東北大学大学院環境科学研究科エコラボ」、太くて長い地域材を活用して造った「南小国町役場」、小中断面の一般流通木材の105角材、定尺材を活用し、強烈な風雨に耐える「竹林寺納骨堂」の例、大断面の流通木材を活用して、格子状高耐力壁で開放性を実現した「荒川材木店道作工場事務所」
(いわき市)、大断面の短材をつなげて大スパンを実現した「須賀川市立第三中学校体育館」、極小木材でレストランを造った「メインダイニングエレテギア」(尾道市)の各事例とその評価について詳細に解説。
最後に、木の街づくり推進に向けて、
木材供給者と設計者の対話
─地域木材の情報(樹種、等級、サイズ、含水率、単価、納期等)の共有
─供給者と設計者の対話は、制約だけでなく可能性を生む
大量木材発注に対応できる供給システム
─分離発注における品質管理、着工後調整の仕組み
─流通活性化のための木材サイズの整理
法環境の整備
─製材JAS →製材工場が限定される
─内装制限 →保育園等で木材をあらわしにしにくい
─別棟区画 →棟間にExp.jを設けると耐火コアを利用した構造計画が困難
旨の提言があった。
〔略歴等〕
〔講演データ〕
調整中:近日中に公表します。